2010年8月25日水曜日

新聞社の税務会計上の優遇政策。

『新聞があぶない』(本郷美則、文春新書、二〇〇〇年)から。


・新聞社は、半世紀にわたって事業税を減免されてきた。
 1951年制定の地方税法により、その公益性を理由に1985年までは事業税を免除され、その後も98年まで経過措置として優遇されてきた。

・輸入新聞用紙の関税は、特別に減免されている。
 1951年に10%の関税が課せられ、89年までの10年間は、4.1~3.1%低度の低税率に推移したが、90年からは税率ゼロになった。

・法人税の課税基準になっている減価償却資産・設備の耐用年数について、新聞社には特例が認められている。
 減価償却設備の耐用年数等に関する大蔵省令別表によって、普通乗用車は6年だが、報道通信用の車両は5年と定められている。
 また、一般企業では印刷設備の耐用年数が10年とされているが、写真、通信設備などを含む新聞社の印刷設備は5年となっている。このほか、写真製版装置等の特別償却、出版物、雑誌の返品調整引当金、返品債権特別勘定などにも特例規定がある。

・取材に伴う飲食費は、交際費に算入されない。

・新聞社の株式は自由に売買できないよう法律で定められ、特別に保護されている。
 商法204条の特例法により、定款で定めさえすれば、新聞社の役員や従業員などの「新聞事業に関係のある者」でないと、自社の株式を取得できないように制限することができる。
 株式の譲渡を制限することによって、資本の力が恣意によって言論を支配することを防ぎ、新聞の公正さと好気性を守ろうという仕組み。

・一部の新聞社は、「有価証券報告書」の提出義務を特別に免除されている。
 株式の公開・非公開にかかわらず、資本金5億円以上で、500以上の名義の株主を持つ一般の株式会社は、事業年度ごとに「有価証券報告書」を大蔵大臣(現在は金融政策委員会)に提出しなければならない。(外形標準)
 → 95年9月「企業内容等の開示に関する大蔵省令」の改正により、新聞社は提出義務を免除される道が開けた。

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